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【column】 夏を元気に乗り切ろう!

2023.07.07

犬猫通信 for CAT

猫も暑いものは暑い!?

暑い夏、我々がエアコンや扇風機の前でヒーヒー言っている時も、日向でゴロンと寝転がる猫を見かけます。こんなところでお昼寝して、熱中症になったりしないかしら、と心配になってしまいますよね。

我々が今一緒に生活している「イエネコ」は、北アフリカやアラビア半島の砂漠地帯に多く住んでいるリビアヤマネコが原産とされているため、概ね暑さに強く、寒さに弱い動物とされています。

とはいえ砂漠地方は、日中40℃に近い温度まで上昇するものの湿度が低いため、日陰に入ると案外カラっとしています。 しかし日本の夏は高温多湿。湿度が高い上、気温が35℃を超える猛暑は、夏でも毛皮をまとっている彼らにとって、やはり暑すぎる環境と言わざるを得ません。

また、ノルウェイジャンフォレストキャットなど寒い地方出身の猫たちは、寒さに強く暑さに弱い傾向にあります。あのもふもふの長毛が体表面からの放熱を邪魔するので、他の猫種よりもエアコンの設定温度は低めにした方がいいでしょう。

冷房の設定温度は26〜28℃程度がいいと思いますが、扇風機などで空気の流れを作るとより効果的です。また、冷房のついている部屋のドアを開放し、あまり冷房が効いていない部屋へ移動できるようにしましょう。 猫たちは、その時々に快適な場所を求めて移動しますので、家の中で温度勾配をつけておいてあげるのも大切なことです。

 


夏に使いたい、ひんやりグッズ



猫のひんやりグッズはあまりなかったのですが、ここ数年、前年を上回る酷暑が続いているためか、少しずつ増えてきています。

まずは、冷感マットです。
色々なタイプが販売されていますが、せっかく買ったのになかなか乗らない、という声をよく聞きます。我が家の猫たちも冷感マットそのものの上にはなかなか乗りませんが、その上にイグサを敷くとよく乗ります。使ってもらうには、ちょっとした工夫が必要かもしれません。

また、冷暖プレートという冷たくひんやりとした温度を保つことのできるマット(ペット家電)ができました。室温よりおよそ5℃低い温度を維持するそうです。

ペットハウスにも冷暖房完備のものが出てきています。電気を使うものではなく、付属の大きな保冷剤で冷気を維持するようなので、電気代がかからない、というのもいいですね。



夏を乗り越えるための食生活

暑さに強いカラダをつくる上で重要なポイントは筋肉量を増やす、もしくはしっかり維持することです。

筋肉の水分保持量は、体内の水分保持量より多いので、筋肉量が増えると体内で貯蔵できる水分量が増えることになります。 筋肉を維持するために必要な食事といえば、タンパク質ですね。特に猫は動物性タンパク質を好みます。カラダの作りも動物性タンパク質を消化しやすいようにできています。

とはいえ暑い日が続くとさすがの猫たちも食欲がなくなってきます。そういった時には嗜好性が高い肉や魚の新鮮なものをあげるようにしましょう。

猫は体表面から汗をかくことはありません。かといって汗をかかないわけではなく、気温の高い時の方が、カラダから失われる水分量は増加します。

しかし、猫に水を飲ませるのは意外と大変。 材質の違う器に水を入れてあげたり、温度の違う水を用意したり、ファウンテンタイプの水飲み器を設置したりするといいでしょう。

しかしそれでもあまり水を飲まないということであれば、スープやジュレタイプのウェットフード、高嗜好性の液状おやつなどを適宜あげましょう。 とても好んで食べるものが見つかれば、それに少し水を足してあげるとさらに水分が摂れます。

また、我々が食べる用に取った美味しい出汁を水やお湯で割ってあげてもいいと思います。出汁スープ、うちの子たちは小躍りして喜びます!

今年の夏もまた昨年以上の酷暑が予想されています。少しでも涼しく快適に、健康で元気に乗り越えていきたいですね。


 



Written by
監修医 小林 充子 先生


麻布大学獣医学部を卒業。在学中は国立保険医療科学院のウイルス研究室でSRSV(小型球形ウイルス)の研究を行う。2010年に目黒区駒場にてキャフェリエペットクリニックを開業。一頭一頭のタイプに合ったオーダーメイドの対応を信条に総合診療を行う。
 
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