ニュース一覧犬猫通信 for DOG【column】ワクチンや健康診断って本当に必要?

【column】ワクチンや健康診断って本当に必要?

2025.04.11

犬猫通信 for DOG

ワクチンって受けた方がいいの?

「狂犬病予防接種のお知らせ」が届き始めると、春の訪れを感じます。春は予防の季節、混合ワクチンや狂犬病ワクチン、フィラリア予防にノミダニ予防、とやることがたくさん!ですね。さてそのワクチン接種、打つことに抵抗のある飼い主様がいらっしゃいます。しかし「うちの子は犬が苦手なので」「他の子と接触しないので」「犬の集まるところには行かないので」というのはワクチンを打たない理由にはなりません。
例えばパルボウイルスというウイルスは、便と一緒に体外へ排出された後、場合によっては数年にも及ぶ長い時間を環境中で生き延びることができます。お散歩の時にクンクン嗅いだその草むらの中にパルボウイルスが潜んでいた場合、そのウイルスを鼻先にくっつけて、そのままペロッと飲み込んでしまい感染を起こす、というケースも考えられるのです。

混合ワクチンの中にはコアワクチン、と言われる致死率・感染率が高く世界的に重要な感染症で、地域や生活様式に関わらず全ての犬が接種すべきワクチン、と定義されるものがあります。それが狂犬病、ジステンパー、パルボウイルス感染症、アデノウイルス感染症の4種類です。毎年のワクチン接種に抵抗のある方は、まずは狂犬病以外のウイルス抗体価を測ってみるといいでしょう。十分な抗体があることが確認できたら、ワクチン接種は必要ありません。

皆さまは狂犬病予防法というのをご存知でしょうか?日本は世界でも数少ない狂犬病が発生していない清浄国です。狂犬病予防法は、発生を防止し蔓延を阻止することを目的として1950年に制定された法律で、犬の飼い主に次の3つの義務を課しています。

①犬を飼い始めたら犬の登録をすること
②狂犬病予防接種を毎年受けさせること
③犬の鑑札と狂犬病予防注射済票を犬に装着しておくこと


今は日本での発生はありませんが、狂犬病の恐ろしいところは全ての哺乳類に感染する可能性があるところです。アライグマやキツネ、コウモリなど様々な野生動物への感染が報告されています。お隣の韓国では狂犬病に感染した男性が死亡する例もあり、またいつ日本に狂犬病が再び入ってくるかわからない状況です。ウイルスは目に見えないもの、感染してからでは遅いのです。だからこそ予防できるものはしっかり予防しましょう。


健康診断を受けた方がいいの?



うちの子はすごく元気で今のところ何も心配がないのだけれど、健康診断は受けた方がいいですか?と聞かれることがよくあります。若齢で受けるメリットとしては、「その子の標準値」を知ることができる、ということです。どんな検査にも正常範囲というものがありますが、これはあくまで平均値ですので、それがその子にとっての正常範囲かどうかはわかりません。若く健康な時に受けるからこそわかるその子の正常値は後々大変役に立ちます。

また飼い主さんが気付いていないところで病が進行している可能性も否定できません。そういった表面化していない病気を発見したり、今後気を付けておいた方がいいことなどを知ることができます。健康診断では、血液検査、尿検査、便検査、レントゲン検査、エコー検査など様々な検査がありますが、犬種や年齢、生活環境や症状によってどの検査をするのがいいか、かかりつけの先生と相談しながら決めるといいでしょう。


健康診断で何がわかるの?




健康診断でわかること、実はとてもたくさんあります。例えば一般的な血液検査の結果からだけでも、今の食事内容・量は合っているか、足りない栄養素はないか、水分摂取量は十分か、アレルギーの傾向はないか、感染や炎症が起こっていないか、免疫力はあるか、ストレスを感じていないか、お散歩の量は足りているか、などといったことがわかります。
尿検査では、現在の腎臓の状態、水分摂取量、尿路結石や膀胱結石の元となる結晶の有無、潜血反応、などがわかります。採尿さえできれば、犬たちに負担をかけることなく行える検査ですので、ぜひ定期的に受けて下さい。

うちの子は問題ない、と思っていてもそうではないかもしれない、未病のうちに対策を立て、その子にとってより良い生活環境を整えてあげるために健康診断は定期的に受けることをお勧めします。

 



Written by
監修医 小林 充子 先生


麻布大学獣医学部を卒業。在学中は国立保険医療科学院のウイルス研究室でSRSV(小型球形ウイルス)の研究を行う。2010年に目黒区駒場にてキャフェリエペットクリニックを開業。一頭一頭のタイプに合ったオーダーメイドの対応を信条に総合診療を行う。
 
《 【column】もっと楽しくお散歩!! 毎日を気持ちよく歩こう