【column】一緒に楽しく安全にお出かけしよう!
2025.05.14
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いいお天気が続いて、何となくどこかへお出かけしたくなる季節。せっかくだからうちの子も連れてどこかへお出かけしたい!!でもどこへ行けば喜んでくれるのかな、と迷われることも多いでしょう。
普段あまりお散歩以外に遠出をしたことのないわんちゃんの場合、いつもより少し遠くの公園やドッグランにお出かけしてみましょう。いつも見ない景色や音、家族以外の人や他のわんちゃんたちにどういう反応をするか、注意深く観察します。新しい環境にも比較的早く慣れることができ、他のわんちゃんに対しても友好的に接することができるなら、犬の集まる場所を含めて積極的にお出かけしてもいいでしょう。
逆に他のわんちゃんを怖がったり、攻撃的になったり、また新しい環境に非常に落ち着かない様子を見せる子に対しては、あまり犬の集まらない、ある程度決まった場所だけに連れて行くようにした方がいいでしょう。家族と一緒にいる時間が長いのはとても嬉しいことだけれど、遠方への「お出かけ」は犬の性格によってはストレスになることもあります。まずはうちの子がお出かけに向いているのかどうか判断してあげましょう。
一緒にお泊まり!長距離の移動で気を付けること
せっかくだから一緒にお泊まりもしたい!そう思われる方も多いかと思います。今はペット同伴可能な宿泊施設も増えていますし、チャレンジしたいところです。
まず旅行の計画を立てる時に、考えなくてはならないのが移動手段です。車で移動するのか、電車に乗るのか、それによって準備が異なります。
車で移動する際には長距離移動をする前に一度車に乗せてみて、車酔いをしないか、車内で異常に興奮したり、ずっと震えていたりしないか、その様子を観察しましょう。車酔いをする場合、どのくらいの時間で嘔吐するのか、ぐったりしないか、その辺りも合わせて観察することが必要です。車酔いがひどい子の場合、酔い止めのお薬がありますので、かかりつけの先生に処方してもらいましょう。
一方車内でずっと鳴き続ける、開口呼吸が続く、落ち着かず涎が出る、震えが止まらない、などの様子が見られる場合は、程度によっては車での移動を考え直した方がいいかもしれません。一応興奮状態を鎮めるための鎮静剤やフラワーレメディ、その他サプリメントなどありますが、車移動が可能かどうかを含めてかかりつけの先生に相談なさるといいでしょう。
一方電車で移動する場合、ずっと鳴き続けるなど周りの方に迷惑をかけるような行為がないかどうか、まずは近距離で電車に乗って確認してみましょう。またどういった移動手段を使うにしても、定期的にトイレをさせる必要があります。車の場合は都度サービスエリアに立ち寄り、トイレをさせることができますが、電車の移動の場合には電車内でトイレをさせることはできません。乗車前に必ずトイレをさせるなどして、我慢させることのないよう気をつけてあげましょう。
疲れはあとからやってくる!?
とあるシニアのわんちゃんの話です。年に2、3回気候のいい時期に毎年旅行に行くこのわんちゃん、持病はあるものの調子がよく元気だったので、無理をさせないという約束で1泊2日の旅行へ。旅先では機嫌よくお散歩し、いつもよりたくさん食事も摂れたそうです。
ところが次の日、状態が急変し意識混濁の状態でクリニックに駆け込まれました。なんと持病の悪化ではなく、疲労による体力・免疫力の低下によって起こった虚脱状態で、一時は生死の境を彷徨いました。数日でなんとか回復しましたが、楽しかったはずの旅行がこんな事態を引き起こし、飼い主さんはショックを隠しきれないご様子でした。
1日中大好きな家族と一緒ということもあり、旅行中犬たちはテンションが上がりっぱなしで、普段しないことをしたりします。喜んで走り回る犬たちの姿を見て、ご家族も嬉しいと思いますが、彼らは自分たちで制御することができません。ですので、飼い主さんが今日はここまで!と切り上げる必要があります。特に子犬やシニア、持病のある子は要注意です。
ちょっとした遠出も旅行も、犬たちにとってはもちろん、飼い主にとっても家族一緒に過ごせる貴重な時間と経験となります。素晴らしい思い出となるよう、事前にしっかりと計画し楽しく安全に過ごしたいですね!
Written by
監修医 小林 充子 先生
麻布大学獣医学部を卒業。在学中は国立保険医療科学院のウイルス研究室でSRSV(小型球形ウイルス)の研究を行う。2010年に目黒区駒場にてキャフェリエペットクリニックを開業。一頭一頭のタイプに合ったオーダーメイドの対応を信条に総合診療を行う。