愛犬の噛み癖を直す方法!原因と直し方を理解してしつけをしよう
2025.05.03
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愛犬の噛み癖の原因を探ろう

「噛む」という行為には、ストレスや恐怖心といったさまざまな原因が隠されています。わんちゃんは、言葉で話したり手を使ったりすることができないため、さまざまな理由で噛む行動を起こしてしまうのです。
まずは、愛犬が噛む理由には、どのような原因が考えられるのかを見ていきましょう。
子犬の歯の生え始めでかゆい
子犬は、一般的に生後4か月から6ヶ月頃に乳歯から永久歯に生え変わります。歯の生え変わりの時期は、歯茎がムズがゆくなるため、違和感を緩和しようとおもちゃを噛んだり、甘噛みをしたりすることが少なくありません。
永久歯が生えそろい、ムズがゆさが落ち着けば、噛み癖も自然と直る場合もあります。しかし、噛み癖を放っておかず、きちんと噛んではいけないものを教えてあげましょう。
本能的なもの
わんちゃんは、本能的な欲求で噛むことを好む動物です。犬の祖先は、動物を狩って生活をしていたため、いまだに噛むという習性が残っています。
人間のように話したり手を使ったりすることができないため、噛んでどんなものかを確かめたり、噛んでエネルギーやストレスを発散します。噛むこと自体をすべてやめさせるのではなく、人や噛んではいけないものをしっかりと覚えさせることが大切です。
ストレスが溜まっている
わんちゃんが噛むのはストレスを抱えているからかもしれません。わんちゃんは噛むことで好奇心や本能が満たされ、ストレスを発散します。例えば、以下のような状況でストレスを感じる場合があります。
- ・生活環境が大きく変わった
- ・慣れていない場所に長時間出かけた
- ・運動不足
- ・体調不良
- ・知らない人に触られた
なるべくストレスをかけないようにするのはもちろん、おもちゃで遊んだり、十分な散歩に出かけたりなど、ストレスを発散させられるような習慣づくりが大切です。
ご家族の気を引きたい&遊んでほしい
わんちゃんは、ご家族の気をひきたかったり、遊んでほしかったりするときに遊びの一環として噛みついている場合があります。
本来であれば、子犬の時期に親と兄弟同士のじゃれあいによって、噛む加減を覚えていくものです。噛む加減を覚える前にお迎えした場合、ご家族で噛んでいいものと悪いものを教えてあげなければいけません。
恐怖心
わんちゃんは、恐怖心から噛みつく場合があります。わんちゃんは口で話したり手を出したりすることができないため、自己防衛のために反射的に噛みついてしまうのです。
例えば、わんちゃんが嫌がることがあったとき、人間のように「やめて」と伝えることができません。本気噛みに発展するケースは、恐怖心から身を守るとき、ものを守るときの防衛的な理由が中心です。
甘えや興奮
わんちゃんは甘えや興奮によって、噛みつく場合もあります。甘噛みをした際に「かまってくれた」「遊んでくれた」と誤って学習した恐れがあるでしょう。
甘えや興奮によってわんちゃんが噛んできたときは、リアクションをとらず、冷静にダメと教えてあげることが大切です。
愛犬の噛み癖が直らないとどうなる?

愛犬の嚙み癖が直らないと、さまざまな問題が発生する場合があるので注意が必要です。ここからは、わんちゃんの噛み癖が直らないとどうなるかについて解説します。
本気噛みに発展して周りの人にけがをさせる恐れがある
最初は遊びの一環で甘噛みをしていても、本気噛みに発展するケースがあります。成犬まで噛み癖が残ると本気噛みに発展し、周りの人やわんちゃんに怪我をさせてしまう恐れがあるので注意が必要です。
日々のお手入れやお世話が難しくなる
噛み癖のあるわんちゃんは、日々のお手入れが難しくなるのも特徴です。例えば、ブラッシングや爪切り、シャンプーなど、日々のお手入れの際に噛みつかれてしまうと自宅でのお手入れが難しくなります。
また、病院やサロンなどのプロの場合でも、噛み癖がひどい子は断られてしまうケースもあります。お手入れを怠ると、愛犬の健康にも悪影響になりかねないので、噛み癖は早めに直しておくのがよいでしょう。
愛犬の噛み癖を直すしつけ方法

ここからは、愛犬の噛み癖を直すしつけ方法を解説するので、ぜひ実践してみてください。
愛犬が噛む原因を探る
愛犬の噛み癖を直すには、愛犬が噛む原因を探り、原因に対しての効果的な対策を行うことが大切です。原因がわからず誤ったしつけをしてしまうと、トレーニングの効果がでにくくなる恐れがあります。
原因 | 対策 |
かゆい | 噛んでもいいおもちゃやおやつを与える |
本能 | 噛んでもいいものと悪いものを教える |
ご家族の気を引きたい&遊びたい | 遊びの時間や散歩の時間を増やす 噛んでもいいものと悪いものを教える |
恐怖心 | 恐怖心のあるものに慣れさせるしつけ |
甘えや興奮 | 落ち着かせる 嚙んでもいいものと悪いものを教える |
おもちゃや噛み癖防止グッズを利用する
噛み癖を直すには、噛むおもちゃや噛み癖防止グッズを活用して、噛む欲求を満たしてあげるのも効果的。噛むおもちゃは、ナイロンやゴムなど噛み応えがある素材でできており、夢中になって噛んでストレスを発散してくれる可能性があります。
中におやつを隠せるものや、フレーバー付きのものなど、わんちゃんの好奇心をくすぐる仕掛けが施されたものも多いです。
噛み癖防止スプレーは、苦い味がするので、ベッド、タンスなどの家具、人の手といった噛んではいけないものに噛みつくのを予防できます。
正しい方法でしつけを行う
嚙み癖を直すには、正しい方法でしつけることが大切です。誤った方法でしつけると、逆に噛み癖がひどくなったり、混乱させてしまったりする恐れがあります。
わんちゃんが噛んできたときに低いトーンで「ダメ」「ノー」などと合図を出します。大声を出したり、体罰を行ったりは絶対にせず、その場を10秒程度離れましょう。
この動作を噛みつく度に行うことで“噛んだら楽しくないことが起こる”とわんちゃんに学習をさせます。合図の言葉はわんちゃんが混乱しないようにご家族で統一することが大切です。
適度な運動をさせる
ご家族の気をひきたい、遊んでほしい、ストレスが溜まっているといった原因から噛み癖に発展している場合は、適度な運動をさせましょう。わんちゃんの散歩量は、大きさや体格によって差があります。
雨の日で散歩に行けないときは、室内でボール遊びをしたり、おもちゃを使って遊んであげたりして十分な運動を行うことで、噛みつきを予防させることができるでしょう。
恐怖心に対してのしつけ方法
人が怖い、音がこわいといった恐怖心に対してのしつけ方法は、怖がるものを徐々に慣れさせることが大切。慣れない人やわんちゃんに対して恐怖心がある場合は、公園やドッグランなどに抱っこして連れて行き、徐々に慣れさせてあげましょう。
インターホンや動作音が怖い場合も同様に、その音を聞かせて慣れさせます。落ち着いていられたらご褒美のおやつを与えて“いい子にできたらいいことがある”と学習させることが大切です。
愛犬の噛み癖を直すときのポイント

ここからは、愛犬の噛み癖を直すときに気を付けるポイントについて解説します。
子犬のうちに早く直す
わんちゃんは生後1ヶ月から生後8ヶ月目までは、人間社会に適応できる時期(※)だといわれています。この時期は、あらゆるものやルールを受け入れやすく、「噛む」「吠える」「うなる」といった問題行動の予防につながるでしょう。
わんちゃんは社会化期をすぎると徐々に自我が芽生えはじめ、トレーニングをするのが難しくなってくるので、なるべく早めに始めるのがポイントです。
※“認定NPO法人 日本レスキュー協会 犬の社会化”参照
大声を出したり暴力をふるったりは絶対にしない
噛み癖を直す際は、大声を出したり暴力をふるったりすることは絶対にしないようにしましょう。痛みや恐怖を与えるのは、信頼関係を損ねるだけでなく、噛み癖が悪化する恐れもあります。
愛犬を褒めて学習をさせる
どんなトレーニングを行う際も、愛犬を褒めて“いいことがある”と学習させることがポイント。「いいこ!」「よし!」など褒める言葉も統一し、高いトーンで褒めてあげると愛犬にも伝わりやすいでしょう。
また、ご褒美としておやつを活用するのも効果的。いい子にできたら褒めてもらえるというルーティーンができれば、どんなトレーニングも行いやすくなります。
愛犬の噛み癖に関するよくある質問

Q. 愛犬の噛み癖は自然に直る?
A. 子犬の歯の生え替わりの時期に甘噛みをしなくなる場合がありますが、わんちゃんの噛み癖は、基本的に自然に直るとは思わず、噛んではいけないものを教えてあげると良いでしょう。甘噛みでも放っておくと“噛んでいいもの”と誤認してしまう恐れがあります。
Q. 愛犬に噛まれたら無視した方がいい?
A.わんちゃんに嚙まれたらオーバーにリアクションせず、冷静に「ダメ」「ノー」などと指示をだし、その場を離れる方法が効果的です。
無視でも“ご家族がいなくなってしまう”ということを学習させることができますが、いいことと悪いことを分かりやすくしてあげるために合図を取り入れるのがおすすめです。いい子にできたらしっかりと褒めてあげることも忘れずに行いましょう。
まとめ

愛犬の噛み癖を直すには、原因を理解することが大切です。原因によって対策方法が違うため、スムーズにトレーニングできなくなる恐れがあります。「噛み癖が直らない」「ひどい」と悩んでいるご家族は、ぜひ本記事を参考に正しくトレーニングを行ってあげてください。
Written by
監修医:小島 麻里 先生
犬猫生活往診クリニック代表獣医師。2013年酪農学園大学を卒業後、地域密着型の1次病院から大学病院、歯科専門病院など11年間小動物臨床で経験を積み、ペット栄養管理士取得後、往診専門動物病院を開院。保護猫おもち・わらびと暮らす。