犬の目が開かない原因としょぼしょぼする時の対処法
2025.05.14
|
自己判断で対応すると症状が悪化する恐れがあるため、適切な対処が必要です。本記事では、わんちゃんの目が開かない原因や考えられる病気、やってはいけない対処法、受診の目安について詳しく解説します。
わんちゃんの目が開かない原因は?

わんちゃんの目が開かなくなる原因はさまざまです。主な理由を理解しておくことで、柔軟な対応がしやすくなります。
異物が目に入った
わんちゃんの目が開かない原因として、砂やホコリ、小さな虫などの異物が目に入ることが考えられます。目の表面が刺激されると、不快感から目を閉じることがあり、涙や目やにが増えることも少なくありません。
こうしたサインを見逃さないためにも、日頃からわんちゃんの様子を観察し、異常を見つけた際は早めに対応することが大切です。
病気による目の痛み
目が開かない場合は、角膜や結膜が炎症を起こしている可能性があります。また、眼圧が高まり、強い痛みを感じて目を開けないのかもしれません。
目をチェックした際に異物が確認できない場合は、目の病気を疑い、早めの受診が必要です。
ワクチンのアレルギー反応
稀にワクチン接種後にアレルギー反応が起こり、目の周囲が腫れて開けにくくなる場合があります。ワクチン以外にも薬、食物中や環境中のものに反応して起こることもあります。アレルギー反応は重篤化することもあるため、顔全体の腫れや呼吸の乱れが見られたらすぐに受診しましょう。
わんちゃんの目が開かない時に考えられる目の病気

目が開かない、または開きづらい場合に考えられる病気には、以下のとおりです。
- ・角膜炎
- ・結膜炎
- ・緑内障
- ・角膜潰瘍
- ・乾性角結膜炎(ドライアイ)
- ・ぶどう膜炎
- ・眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)
- ・眼球癆(がんきゅうろう)
- ・アレルギー症状
また、目のレンズの役割をはたす水晶体が白く濁る「白内障」など、遺伝や加齢が関係する病気もあります。個体によって症状や進行は異なり、すべての症状が当てはまるわけではありません。異変を感じたら早めに獣医師へ相談することをおすすめします。
角膜炎
角膜に炎症が生じる病気で、異物の混入や細菌感染、外傷などが主な原因です。症状は充血や目やにの増加、涙が増えるといった変化が見られます。目を細めたり、しょぼしょぼさせることもあるようです。
治療には、炎症を抑えるための点眼薬が使用されるのが一般的。放置すると視力の低下や失明の恐れがあるため、早期発見が大切です。
結膜炎
結膜炎は、目の表面を覆う結膜に炎症が起こる病気です。主な症状には、目が赤くなる、目ヤニが出る、目をしょぼしょぼさせる、まぶたが腫れるなどがあります。
原因はアレルギーや細菌、ウイルスの感染、異物の侵入など様々で、原因により治療方法も異なるのが特徴です。治療には、点眼薬や抗生物質が使用されます。
緑内障
緑内障は眼球の内部の圧力が高まり、視神経に負担をかける病気です。症状が進むと視力が低下し、失明する恐れもあります。先天性や原発性以外の原因としては、白内障、ぶどう膜炎、網膜剥離、眼内腫瘍があります。
初期には、目が大きく見える、目が開かない、目をしょぼしょぼさせる、白目が充血している、目が白っぽく濁っている、開いているように見える(散瞳)、元気食欲がない、目の周囲を触られることを嫌がるなどのサインが見られます。治療は、点眼薬が主です。重症化した場合、外科的治療が必要になることもあります。
角膜潰瘍
角膜潰瘍は、わんちゃんの目の表面にある角膜に傷がつき、炎症が起こる病気です。外的な刺激や感染症、異物が原因となることがあります。症状としては、目が赤くなる、涙が増える、目をしきりにこすったり、瞬きを繰り返す、目が閉じにくいなどです。
浅い傷であれば点眼薬を使用して数日程度で回復がみられます。難治性の角膜潰瘍に至ると外科的な治療が必要になることもあるため、早期治療が大切です。
乾性角結膜炎(ドライアイ)
乾性角結膜炎(ドライアイ)は、わんちゃんの角膜や結膜の水分量が減少し、目の表面が乾燥して炎症を引き起こす病気です。主な症状として、目の赤みや目ヤニの増加、頻繁に瞬きを繰り返すことがあります。涙腺の異常や免疫系の問題も考えられます。
治療には、人工涙液を使って目の乾燥を防ぎ、炎症を抑えることが一般的です。また、感染を防ぎ、涙の分泌を促進するために目を温めるホットパック(温罨法)もお勧めです。
免疫が関係している場合、免疫抑制剤の眼軟膏を使用する場合もあります。
ぶどう膜炎
ぶどう膜炎は、わんちゃんの目の内部にある血管やメラニン色素の豊富なぶどう膜が炎症を起こす病気です。原因には、感染症や免疫異常、白内障、結膜炎や角膜炎、全身性の炎症疾患、薬物、腫瘍などがあり、症状として目が赤くなる、目ヤニが増える、目をしょぼしょぼさせる、視力の低下などがあります。また白内障、緑内障、網膜剥離を併発することもあり、失明につながる恐れもあります。
治療は抗炎症薬や抗生物質、免疫抑制剤を使い、炎症を抑えることが一般的です。重症の場合、手術が必要になることもあります。
眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)

眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)は、まぶたが内側に巻き込まれることで、まつ毛が角膜を刺激し、炎症や痛みを引き起こす病気です。
また、まぶたが外側にめくれる「眼瞼外反症」や、目頭が赤く腫れる「第三眼瞼逸脱(チェリーアイ)」、逆さまつげも関連する病状としてあります。眼瞼内反症は、以下のような特定の犬種に見られることが多いです。
- ・ビーグル
- ・チワワ
- ・アメリカン・コッカー・スパニエル
- ・セント・バーナード
- ・ボストン・テリア
- ・ペキニーズ
- ・バセット・ハウンド
原因についてははっきりとわかっていません。根本治療をする場合は、手術が必要になります。
眼球癆(がんきゅうろう)
眼球癆(がんきゅうろう)は、目の炎症や外傷、緑内障などによって眼球が萎縮し、目の機能が失われる病気です。この病気は後天的に発症します。
眼球が小さく変形し、目の周囲に隙間ができることで目ヤニが溜まりやすい状態です。進行すると結膜炎を引き起こし、痛みの発生や瞼が内側に反り返ることもあります。目やにが多く出て炎症が強いなどが見られる場合は、眼球を摘出する手術も治療法です。
アレルギー症状
花粉やほこり、食べ物が原因でアレルギー症状を引き起こし、目のかゆみや目ヤニ、目が開かないなどの症状がみられることがあります。目の腫れやしょぼしょぼした様子がみられることも。治療には必要に応じて抗ヒスタミン剤やステロイドの点眼薬や内服薬を使用し、アレルギー源を避けることが基本となります。
病院を受診するタイミングは?チェックすべき目の状態

目の異常に気づいた時は、早めに動物病院を受診するのが基本です。特に以下の症状が見られた場合は速やかな受診をおすすめします。
- ・目を頻繁にこする
- ・目が充血している
- ・涙が止まらない
- ・粘り気のある黄色い目やにが出ている
- ・まぶたや顔全体が腫れている
- ・歩行時に物にぶつかるなど、視力の異常が疑われる行動
嘔吐や呼吸が荒い、顔全体が腫れている場合は緊急を要するケースです。迷わず動物病院に連れて行きましょう。
犬の目が開かない時にやってはいけない対処法

症状が見られた際に自己判断で行う対応は、かえって悪化を招くことがあります。次のポイントに注意してください。
- ・目を無理に開けさせない
- ・汚れを取ろうとして目をこすらない
- ・人間用の目薬を使用しない
- ・水道水やアルコールで洗浄しない
わんちゃんが目をこすらないよう、自宅にエリザベスカラーがあれば装着してあげると良いでしょう。
目の病気を日頃から予防するためには?

わんちゃんの目の健康を守るためには、日頃のケアや定期的なチェックが重要です。日常的に以下のことを意識することで、病気のサインを早めにキャッチし予防につなげられます。
被毛が目に入らないよう短くカットする
被毛が目に入ると目を刺激し、炎症を引き起こす原因になります。とくに目の周囲の毛は定期的にカットし、清潔な状態を保つことが大切です。
また、まつ毛が伸びすぎている場合や、逆さまつ毛が見られる場合も目に負担をかけることがあります。必要に応じて専門家に相談し、適切なケアを行いましょう。
日頃の健康チェック
目の状態を日々確認する習慣をつけましょう。涙や目やにの量を観察し、汚れている場合は専用のガーゼやシートで優しく拭き取ります。目の周りに汚れが溜まったままだと、炎症の原因になることがあります。
定期的なケアで清潔な状態を保ち、日頃から愛犬の目の色や大きさ、動きを観察して異変を感じたら早めに対処することが大切です。
定期健診
年に一度は動物病院で健康診断を受ける習慣をつけましょう。目が開かない、頻繁にしょぼしょぼさせているなどのサインが見られるときは、早めに受診することで、目の病気を早期に発見できる可能性が高まります。
とくにシニア期に入ったわんちゃんは、目のトラブルが増えやすいため、定期的な診断が重要です。
まとめ

わんちゃんの目が開かない症状には、異物混入や病気など多くの原因があります。異変を見つけた際は早めに受診し、重症化を防ぐことが大切です。日頃から愛犬の目を観察し、清潔な状態を保ちながら予防策を徹底しましょう。日々のケアを心がけて、愛犬と健康に過ごせる日々を大切にしてください。
Written by
監修医:小島 麻里 先生
犬猫生活往診クリニック代表獣医師。2013年酪農学園大学を卒業後、地域密着型の1次病院から大学病院、歯科専門病院など11年間小動物臨床で経験を積み、ペット栄養管理士取得後、往診専門動物病院を開院。保護猫おもち・わらびと暮らす。