【column】 意外と知らない フィラリアのお話

春になって、狂犬病予防接種や混合ワクチン接種が終わる頃になると、今年もフィラリアの予防を忘れないようにしましょう！と勧めらるかと思います。

でもフィラリアって？と疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれません。
これを機会にフィラリア症について詳しく学習してみましょう！

フィラリアとは犬糸状虫のことで、これが感染することによって起こる寄生虫疾患を「フィラリア症」、と呼んでいます。 狭い組織の隙間や脈管の中に寄生するこの虫は、細く乳白色のそうめん状で、メスが25〜30cm、オスが12〜18cmと、メスの方が大きいのが特徴です。

フィラリアの好適終宿主はイヌ科の動物で、犬やコヨーテ、キツネなどに寄生します。 そういった終宿主の体内で、フィラリアのメスは子宮内で卵を孵化させ、ミクロフィラリア（第1期幼虫）と言われる幼虫を放出します。

ミクロフィラリアが成虫になるためには、蚊の存在が不可欠です。 ミクロフィラリアを含んだ血液を吸血した蚊の体内で、ミクロフィラリアは10日〜14日以内に2回脱皮して第3期幼虫となります。この蚊が犬を吸血すると、第3期幼虫が皮下組織に侵入します。

3〜4日以内に脱皮して第4期幼虫となると、幼虫は体内を移動しながら45〜65日で未成熟虫になり、末梢血管に侵入して肺動脈まで達します。未成熟虫は4〜5ヶ月かけて成熟虫になり、成熟虫は5〜7年生存することができます。

現在日本に生息している蚊のうち、フィラリアを媒介することが確認されているかは16種です。その中で媒介能力はさほど高くないものの、数の多さで危険視されているのはアカイエカ、ヒトスジシマカなどです。

因みにミクロフィラリアが、蚊の体内で成熟する日数は気温に依存しており、28℃で10日間、18℃で30日間を要し、平均気温が14℃以下では成熟できないことがわかっています。