【column】 寒い冬を温かく 元気に過ごそう!
2022.12.09
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全身を被毛で覆われている犬たち。毛の中に指を差し込むと皮膚表面はいつも温かく、寒さなど感じないように思いますが、実は彼らもしっかり寒さを感じています。
犬たちは一般的に10度を下回ると寒さを感じるようになると言われていますが、実は、犬種によってかなり差があります。
寒さを感じやすいのは下記のような犬種です。
◆シングルコートの犬種
被毛には太く長い上毛と細く短い下毛の2種類がありますが、シングルコートの犬種はこの上毛しか持ちません。保温保湿の役割を持つ下毛が生えない分、体温を保つのが困難になります。
プードル、マルチーズ、パピヨン、ヨークシャーテリアなどがそれに当たります。
◆暖かい地方原産の犬種
メキシコ原産のチワワや、コンゴ原産のバセンジー、エジプト原産のファラオ・ハウンドなどが挙げられます。
◆短毛の犬種
被毛は長ければ長いほど、放熱を防ぐことができるため体温を維持できます。逆に短毛の犬種は体温を保持するのが難しく、Mピンシャー、イタリアン・グレイハウンド、サルーキーなどがこれに当たります。
犬たちは「寒い」と感じると体温を上げるためにブルブル体を震わせたり、飼い主さんに寄り添って暖を取ろうとしたり、毛布や布団に潜り込んだりします。寝る時も鼻を抱えて丸くなった状態で寝るようになります。
寒さ対策はどうしたらいい?
エアコンは手軽に利用できますが、暖気は上に昇りますので彼らが居住する床面に近い場所は逆に冷気が溜まります。また空気が乾燥するので注意が必要です。
ガスストーブや電気ストーブはすぐに暖まるのが利点ですが、長い時間吹き出し口近くに座っていると低温やけどの危険性があります。あまり近くまで寄れないように柵を立てるなどの対策が必要です。
一方で床暖房や電気カーペット、ペット用のホットマットなどが彼らには一番適した暖房器具と言えるでしょう。設定温度にさえ気をつければ、低温火傷のリスクもさほど高くありません。
最近はペット用の電気毛布やホットマットもありますので、そういったものを用意してあげてもいいかと思います。
また、寝床には湯たんぽなどを利用してもいいですね。
お散歩に出る時は、寒がりの犬種の子は特に、洋服やジャンパーなどの防寒具を身につけて行くといいでしょう。お腹をこわしやすい子は腹巻などでお腹が冷えないようにしてあげるのもいいと思います。
また、シニアの子たちはお散歩に行く時間に気をつけてあげましょう。あまり寒い朝に暖かい部屋から急に寒いところに出すと、心臓に疾患のある子や咳が出やすい子、変形性関節炎などの持病がある子は症状が悪化する恐れがあります。 できるだけ日中の暖かい時間に行けるといいですね。
体調管理に気をつけて!!
寒い時期になると普段より免疫力が低くなります。
ちょっとしたことで体調を崩しやすくなるのは、人も犬も同じです。
この時期によく見られるものの一つは膀胱炎です。細菌性膀胱炎や、膀胱結石による膀胱炎など原因は様々ですが、頻尿や血尿といった症状が現れます。
また、軟便や下痢、嘔吐、食欲不振といった消化器症状もよく見られます。「冷え」からくる生理的なものの場合もありますし、急性胃炎や腸炎、ひどい時には膵炎などの病気が隠れていることもありますので、元気がない場合は早めにかかりつけの先生に相談しましょう。
適切な室温を保ちながら、乾燥しすぎていないかのチェックも必要です。もともと咳が出やすい子は部屋の乾燥によって、咳が悪化することもあります。
寒くなると犬たちとの距離が近くなり、より愛情が湧く幸せな季節でもあります。温度管理をしっかりとして、お互い健康で元気に過ごしたいですね!
Written by
監修医 小林 充子 先生
麻布大学獣医学部を卒業。在学中は国立保険医療科学院のウイルス研究室でSRSV(小型球形ウイルス)の研究を行う。2010年に目黒区駒場にてキャフェリエペットクリニックを開業。一頭一頭のタイプに合ったオーダーメイドの対応を信条に総合診療を行う。