【column】うちの子、もしかして花粉症?
2023.02.16
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お散歩に行こうと玄関の扉を開けて一歩外に出た途端に、くしゅん!とくしゃみをするわんちゃん。
あれ?花粉症かな?と思ったことはありませんか?
花粉症というのはご存知の通り、スギやヒノキ、ブタクサなどの花粉に反応して様々な症状を起こすアレルギー性疾患の一つです。
では、犬も「花粉症」になる子はいるのでしょうか?
答えは、YES、犬も花粉症になります。
ヒトの場合の花粉症、というのはくしゃみ、鼻水、目の痒みといった症状が主になりますが、わんちゃんの場合、そうとは限りません。
もともとアトピー性皮膚炎の子で、花粉にも反応する犬ちゃんの場合には、皮膚炎の症状が悪化します。痒みが強くなったり、顔、脇の下、内股、肛門周囲などの部位の炎症がひどくなったり、二次的に膿皮症を引き起こしたりします。
もちろんくしゃみが出たり涙の量が多くなったり、結膜炎を起こしたり、といった症状が見られることもあります。
花粉症かどうかはどうやって調べるの?
まず、それぞれの花粉が飛来する時期に症状の悪化が見られるかどうか、を確認しましょう。
例えば、スギの花粉に反応する場合は、スギの花粉が飛び始める今頃から、ヒノキの花粉に反応する場合は4月頃になってから、ブタクサの場合は真夏の8月くらいから、と花粉の飛来する時期に合わせて症状が出る、または悪化する、ということであれば、まず間違いないでしょう。
どんな花粉にアレルギーがあるのか、また他にアレルゲンはないのか、詳しく知りたい場合は「アレルギー検査」を行うことで判明します。
現在アレルギー検査は幾つかの検査会社で行っており、花粉を含めた植物を始め、ハウスダストやダニなどの環境因子を一緒に調べることができます。もちろん食べ物について調べることも可能です。
調べる項目数や検査会社によって、検査費用はまちまちです。
10項目程度の検査であれば、10,000円程度で調べられますが、項目が増えると40,000円近くかかる場合もあります。
まずは、かかりつけの病院で検査の詳細と費用を聞いてみて下さい。
花粉症対策ってどんなことをすればいいの?
花粉は1日の中でも飛散しやすい時間があります。早朝に樹木から離れ飛び始めた花粉は、風に乗って午前中に飛散量がピークになります。
お昼を過ぎて一旦飛散量は落ち着きますが、夕方になって少し気温が下がり風の向きが変わると上空に漂っていた花粉が落ちてきたり、地面に落ちていた花粉が再度舞い上がったりします。
つまり、1日のうちに2度飛散量のピークがやってくるわけです。まずは、この飛散量の多い時間のお散歩を避けましょう。
またお散歩の際は洋服を着せるようにし、お散歩から戻ったら、その洋服を脱がせてから玄関に入り、家に上がる前に少し湿ったタオルで全身を拭いたり、軽くブラッシングしてあげるとさらにいいでしょう。
窓などから入ってくる花粉はカーテンやブラインドなどにも付着します。特に静電気を起こしやすい冬から春にかけてはより吸着する傾向にあります。水拭きをしたり、掃除機で吸い取ったり、時々は洗濯したりといった対処が必要です。
室内の空気中に浮遊する花粉の除去、という意味では最近は空気清浄機が非常に有用です。高性能な空気清浄機のエアフィルタはほとんど「HEPAフィルタ」が採用されています。その性能は0.3μmの粒子を99.9%集塵できるものと規定されているので、10~30μmの花粉は確実に集塵できると考えていいでしょう。
ただし、床に落ちた花粉は空気清浄機では集塵できません。掃除機や水拭きで確実に除去してあげましょう。
それでも症状が強く出てしまう場合は、かかりつけの先生に相談してお薬を処方していただきましょう。
知らず知らず花粉に反応して辛い思いをしているわんちゃんがいると思います。早く気づいて少しでも楽にしてあげたいですね。
Written by
監修医 小林 充子 先生
麻布大学獣医学部を卒業。在学中は国立保険医療科学院のウイルス研究室でSRSV(小型球形ウイルス)の研究を行う。2010年に目黒区駒場にてキャフェリエペットクリニックを開業。一頭一頭のタイプに合ったオーダーメイドの対応を信条に総合診療を行う。