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【column】 梅雨に負けないからだ作り

2023.06.07

犬猫通信 for DOG

梅雨バテってなんだろう?

長雨、曇天が続く梅雨。なんとなく調子が出ず、体が浮腫んだり古傷が痛んだり、気が重くなったりしますよね。

低気圧が停滞し気圧の下がった日が続くと、自律神経に乱れが生じるだけでなく、体にかかる圧力が低下するので、体が膨張します。さらにヒスタミンをはじめとした微小な化学物質が作られることで、体に水分が溜まりやすくなる状況がどんどん整えられていってしまいます。

これは「気象病」と言われており、いわゆる「梅雨バテ」を起こす原因となります。
頭痛や体のだるさ、手足の浮腫み、持病の悪化など症状は多岐に渡りますが、実はこの症状、犬にも見られます。個体差があるため、全く普段と変わらない子もいますが、影響を受けやすい子は持病が悪化したり、体調にも大きく影響します。

梅雨が終わると暑い夏がやってきます。夏は夏で夏バテを起こします。梅雨バテが治りきらないうちに夏バテに突入してしまうと大変です。
梅雨バテは主に気圧が低くなることで起こる異常ですが、夏バテは温湿度の上昇によって起こる異常です。同じようでいて全く異なるので、対処の方法も変わってきます。できる限り短期間で治してあげたいですね。

 


梅雨にかかりやすい病気ってなんだろう?



この時期まず気をつけたいのは、食中毒です。

ご飯を出してすぐに食べてくれるわんちゃんは問題ありませんが、時間をかけて完食するタイプのわんちゃんは、ご飯をそのまま置いておきがちですが、30分なら30分、と時間を決めておきましょう。

また、見守りカメラなどでおやつを仕込んでおけるタイプのものなども、中に入れるおやつは傷みにくいものをチョイスしましょう。

皮膚の弱いわんちゃんはこの時期「膿皮症」に要注意です。免疫力が落ちたところに、常在菌が増えてダメージを受けた皮膚に炎症を起こします。大きく拡がる前にかかりつけの先生に相談しましょう。

僧帽弁閉鎖不全症といった循環器系の持病を持っているわんちゃんは、この時期「急性肺水腫」を起こしたり、病態が悪化しやすいので注意が必要です。いつもより体がだるそうだったり、咳が出るようであれば、早めに対処する必要があります。

癲癇持ちのわんちゃんもこの時期は発作を起こしやすくなります。常時薬を服用しているわんちゃんは飲み忘れのないように気をつけましょう。 シニアのわんちゃんに見られがちな前庭疾患も起こりやすくなります。

前庭疾患は斜頸や眼振、場合によっては発作のような症状が急に起こるのでびっくりされることもあるかと思いますが、命に関わるものではありません。対症療法が治療のメインとなりますが、少しでも過ごしやすように支えてあげたいですね。



梅雨に負けない体を作ろう!!

梅雨バテを起こす主な要因は気圧の変化です。かといって、我々には気圧をどうこうすることはできないのですが、湿度の調整はできるかと思います。上手に除湿器などを使って、湿度を少しでも下げるようにしましょう

体の中に水分を溜めないように、四肢を温めて末端の血液循環を良くしてあげるのもいいでしょう。一緒にリンパマッサージなどしてあげてもいいですね。 後ろ足の肉球には、血圧を上げるツボがあります。指と指の間、肉球の根元辺りを優しく揉んであげましょう。血の巡りが良くなり、免疫力も上がります。

免疫力を上げるためには、納豆やヨーグルトなどの発酵食品、オリゴ糖が多く含まれるバナナやリンゴなどを少しずつ摂取すると、腸内の善玉菌が活発となり腸内環境が整い、免疫力アップが期待できます。

水入れの器などの食器、ベッドや毛布、タオルなども清潔に保つようにしましょう。湿度の高い時期にはカビなどの真菌、細菌が増殖しやすく、それらに感染することで呼吸器や皮膚疾患、食中毒へとつながります。

日々の暮らしの中で、私たちにできることはたくさんあります。
快適な環境、食生活を整え、梅雨を元気に乗り越えていきましょう!


 



Written by
監修医 小林 充子 先生


麻布大学獣医学部を卒業。在学中は国立保険医療科学院のウイルス研究室でSRSV(小型球形ウイルス)の研究を行う。2010年に目黒区駒場にてキャフェリエペットクリニックを開業。一頭一頭のタイプに合ったオーダーメイドの対応を信条に総合診療を行う。
 
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