【column】 目指せ理想体型! ボディコンディションスコア
2023.12.26
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うちの子の体型や体重が適正なのか不安に思ってらっしゃる方は多く、よくある質問のひとつです。我々獣医師が、その子の適正体重、体格、体型を判断する時に使用するのが、ボディコンディションスコア(BCS)というものです。
BCSはもともと牛や馬など家畜動物のために作られたもので、脂肪の付き具合を「見た目」と「触感」で判断します。
まず、真上から見た時にウエスト部分がくびれているか、横から見た時に、お腹がお尻に向かって斜めに上がっているかどうかを確認します。くびれが見られない場合はBCS4〜5、お腹が地面と並行であったり垂れ下がったりしている場合もやはりBCS4〜5に該当します。
その後、肋骨、背骨、骨盤が確認できるか、優しくなでるようにしながら確かめてみましょう。脂肪を感じることなく肋骨や背骨を直に触れる場合は、BCS1〜2に、逆に皮下脂肪が付いていて肋骨や背骨を感じることが難しい場合は、BCS4〜5と判断します。
一度よく見て、しっかり触って、うちの子の体型が適切なものなのか、確認してみましょう!!
今のご飯の量は適切なのかな?
さて理想の体型の確認ができたところで、次に今のご飯の量が適切かどうかを確認してみましょう。
1日に必要なエネルギー量を計算する方法は幾つかありますが、ここでは簡易的な計算式をご紹介いたしましょう。
まず安静時のエネルギー要求量(RER)を求めます。
RER=体重×30+70
さらに、年齢や活動量に応じてRERに係数をかけて1日あたりのエネルギー要求量(DER)を計算します。
詳しい係数はかかりつけの先生に確認して頂いた方がいいと思いますが、ここでは一例を挙げてみます。
生後4〜6か月 : 2.5
生後7〜12か月 : 2.0
避妊去勢している成猫 : 1.2
避妊去勢していない成猫 : 1.4
高齢猫 : 1.1
肥満傾向の猫 : 1.0
DERがわかったところで、実際に1日で摂取しているカロリーを計算してみましょう。
ごはんだけでなく必ずおやつも含めて下さい。そうしてDERと摂取カロリーを比べてみましょう。思ったよりカロリーを過剰摂取していませんか?
実はおよそ60%程度の猫が肥満、もしくは太り気味であることがわかっているのです。
やはり体重を減らすためには、摂取カロリーを減らすのが一番です。彼らにはそのコントロールはできませんので、ご家族が頑張るしかありません。減量用や高タンパク&グレインフリーのごはんに変更したり、おやつを低カロリーなものに変える、もしくはおやつをやめましょう。
ぽっちゃり体型は危険?
肥満が万病の元、なのはヒトだけではありません。
猫も肥満が引き起こす病気はたくさんありますが、その代表が糖尿病です。
糖尿病は様々な合併症を引き起こす怖い病気ですが、適切に治療すれば完治することもあります。
その他にも肝臓に過剰な脂肪が蓄積することで起こる脂肪肝、腰や肩、膝への負担増により発症する関節炎、心筋症などが挙げられます。
適切な量を摂取し、体重、体型のコントロールをすることでこういった病気を予防することができます。
自主的にカロリーを制限することができない彼らに代わって、我々がしっかりコントロールし、理想の体型と健康な体を手に入れましょう!
Written by
監修医 小林 充子 先生
麻布大学獣医学部を卒業。在学中は国立保険医療科学院のウイルス研究室でSRSV(小型球形ウイルス)の研究を行う。2010年に目黒区駒場にてキャフェリエペットクリニックを開業。一頭一頭のタイプに合ったオーダーメイドの対応を信条に総合診療を行う。