【column】 猫とシャンプーについて
2024.03.18
|
猫たちはご飯が終わったら顔を、トイレに行ったらお尻周りを、と、都度きれいに舐めて身づくろいをしています。
そんな猫たちにシャンプーって必要なのでしょうか?
猫は「グルーミング」をする動物と言われていますが、本来グルーミングとは、毛繕い、爪切り、耳掃除、肛門腺絞り、目や口周りのケアなど、その子の健康を維持するために必要なお手入れ全般を指します。
猫は一つの毛穴からおよそ7〜10本の毛が生えます。中でも特に太く長い毛を「一次毛」、オーバーコートと言い、皮膚を保護する効果があります。その一次毛の周囲に生える短くて細い毛を「二次毛」、アンダーコートと言い、柔らかく密生しているため、保温・保湿の効果があります。
オーバーコートとアンダーコート、どちらも生えている場合をダブルコート、オーバーコートのみの場合をシングルコートと分類しており、ダブルコートの子たちにはアンダーコートが抜け落ちる換毛期というものがあります。換毛期はおよそ3ヶ月周期でやってきます。
基本的に猫は日々の毛繕いやケアをしっかりやっていればシャンプーは必要ではありませんが、それでは落とし切れない程、皮脂の分泌が多く毛が絡まりやすい子、長毛種で毛が柔らかく毛玉ができやすい子などはシャンプーが必要になります。
自宅でシャンプーにトライしてみよう!
猫は水に濡れること、風に当たることが苦手です。
つまり、シャンプーも苦手であれば、ドライヤーで乾かされることも苦手。
そんな猫をシャンプーするのはなかなか至難の技ですが、トリミングサロンや動物病院で行うよりもストレスは少ないはずですので、一度トライしてみましょう!
シャンプーの前に必ずやっておかねばならないこと、それは毛玉があったら必ず取ることです。
また毛玉がなくとも、抜け毛が多いと毛が絡まって洗い終わった後に大きな毛玉になってしまいますので、必ずブラッシングをして、余計な抜け毛は取っておきましょう!
まず大きなたらいやバケツなどを使い、36〜38度くらいのお湯を溜め、そうっとその中に漬けてみましょう。
またシャワーの音に驚きますので、シャワーは出しっぱなしのままその中に入れておきます。
溜めてあるお湯を手で全身に回しかけるようにし、お湯をかけられることに少し慣れてきたところで、シャワーを体に押し付けるようにして全身を流してみましょう。シャンプーは泡立てスポンジなどであらかじめ泡立てておくと、時短になります。
泡を全体に伸ばししっかり洗ったら、最初と同じ要領で流します。
超吸水タオルなどでできる限り水分を吸い取ったら、ドライヤーの出番です。一番風量の弱いところから始めて、少しずつ風量を上げていきましょう。ドライヤーをかけつつ、ブラッシングをします。その方が早く乾きますし、毛玉を作らずに済みます。
どうしてもドライヤーをかけることが難しい場合には、暖かい時期にシャンプーをして、ドライヤーをかけずにブラッシングだけしてあげるといいですね。
自宅でのシャンプーが難しい場合は?
自宅で取り切れない程の毛玉ができてしまった場合や、シャンプーした方がいいタイプなのに、自宅では全くシャンプーができない子は、かかりつけの病院に相談しましょう。
あまりに酷い場合には、麻酔をかけた上で処置することになります。
また、長毛種の子をいわゆるライオンカットにすることがありますが、これがいいかどうかはその子によります。家でのブラッシングが難しく、放っておくとすぐに毛玉になってしまう子で、ライオンカットされてもあまり気にしない子は大丈夫でしょう。
しかし、カットされた状態に非常にストレスを感じて、尻尾の先をぐるぐると追いかけたり、自分の尻尾や手足に噛み付く、といった自傷行為をする猫もいますので、その子の性格をよく見極めて対処する必要があるかと思います。
普段ご自宅できちんと手入れをしてあげれば、猫は決してシャンプーが必要な動物ではありません。
余計な負担をかけることのないよう、日々のお手入れを頑張りたいですね!
Written by
監修医 小林 充子 先生
麻布大学獣医学部を卒業。在学中は国立保険医療科学院のウイルス研究室でSRSV(小型球形ウイルス)の研究を行う。2010年に目黒区駒場にてキャフェリエペットクリニックを開業。一頭一頭のタイプに合ったオーダーメイドの対応を信条に総合診療を行う。