国産へのこだわり 安心安全へのこだわりイメージ画像 素材へのこだわりイメージ画像 商品一覧イメージ画像 私たちについてイメージ画像 殺処分ゼロをめざしてイメージ画像 お知らせイメージ画像
ニュース一覧犬猫通信 for CAT > 【column】 猫の腎臓病ってどんな病気?

【column】 猫の腎臓病ってどんな病気?

2024.04.08 | 犬猫通信 for CAT

腎臓病ってどんな病気?


猫の腎臓はソラマメのような形をしており、左右にひとつずつあります。
「肝心(腎)要(かんじんかなめ)」と言われるほど大切な臓器である腎臓のこと、どのくらいご存知ですか?

腎臓が担っている役割はたくさんありますが、主な働きはこのようなものです。

①血液の中に含まれる老廃物を排除し、尿の元となる原尿を作る

②濾過(ろか)された原尿から必要なものを再吸収する

③赤血球の量が不足してくると、赤血球を作るよう促すためのホルモン(エリスロポエチン)を作る

④血圧の調整をする

⑤電解質(ミネラル)のバランスを整える

⑥ビタミンDを活性化して丈夫な骨を作る

こういった働きを行うのが「ネフロン」と呼ばれる場所で、猫には約40万個ありますが、ヒトは200万個程、犬は80万個程あり、猫のネフロンの数がとても少ないのがわかります。

ネフロンは腎単位と言われ、一度傷付くと再生させることができません。ただ、傷付いたネフロンの代わりを他のネフロンが賄います。75%以上のネフロンがダメージを受けないといわゆる症状は出てきません。そのため腎臓病は発見が遅れてしまうのです。

腎臓病、とは何らかの原因により腎臓が十分に機能しなくなる病気です。数時間で急激に腎機能が低下する状態を急性腎臓病、腎臓の障害や腎機能低下が数ヶ月以上続いている状態を慢性腎臓病と分類し、急性腎臓病は場合によっては命に関わる危険な状態です。

慢性腎臓病はゆっくりと腎機能が低下していくため症状が現れにくいのですが、すぐに命の危険がある状態ではありません。                                                                         
慢性腎臓病はIRIS(国際獣医腎臓病研究グループ)によりステージ分類がされています。

ステージ1
症状は全く見られず血液検査での異常値もなし。
尿検査で異常が見られる場合あり。
残存腎機能33%

ステージ2
多飲多尿が見られるようになる。
残存腎機能25%

ステージ3
尿毒症を発症、食欲低下、嘔吐、口内炎や胃炎、貧血が見られるようになる。
残存腎機能10%以下

ステージ4
尿毒症がさらに進行し、生命の危機が訪れる。
残存腎機能5%以下

IRISやISFM(国猫医学会)により治療ガイドラインが作られており、基本的にはそれに則ってステージ毎の治療を行っていきます。



早期発見のポイントは?



猫の腎臓は片方が完全に機能しなくなっていても症状は出てきません。つまり腎臓病を早期発見するためには、日常生活に変化が出てきてからでは遅いのです。

さらに言えば、血液検査上で異常が出るのも腎機能が40%以上ダメージを受けてから、と言われています。

アミノ酸の一種であるSDMAという物質は、ほぼ全てが腎臓を通過する時に濾過(ろか)され体外へ排泄されるため、腎機能の指標となります。クレアチニンという物質も同様ですが、75%以上腎機能が低下しないと上昇しません。

そのためSDMAの方が腎機能の低下を早く発見できる可能性があります。 血液検査よりも早く腎機能の悪化を感知できる可能性があるのは、尿検査と超音波検査です。

尿検査では尿比重の低下、タンパク尿が見られることによって、超音波検査では腎臓の形状の異常が見られることによって早期発見ができることがあります。

日常生活の中で、腎機能の悪化を予想させる行動は、まず多飲多尿です。水を飲む量が増えて、水のように色の薄い尿をするようになります。すぐにでもかかりつけの病院で検査をしてもらいましょう。



腎臓病と診断されたら



腎臓の負担を軽くするために、タンパク質、ナトリウム、リンなどを制限した療法食に変更し、積極的に水分を摂らせましょう。活性炭やその他サプリメントで腸内のタンパク質、リンなどを吸着させ、体外に排泄させるのもいいでしょう。


健康診断の結果、ステージ1または2と診断された場合、腎血流量を増加させ、炎症を抑制させることで進行を遅らせることができるお薬があります。また近い未来、AIMタンパク質という物質が、腎臓病を完治させる日が来る、と言われています。1日も早い製品化が待たれるところですね。

症状が出る前に早期発見することが何より重要なことですが、適切かつこまめにケアしていくことで、慢性腎臓病は長期的な予後が見込めます。

手軽にできる尿検査だけでも定期的に行い、早期発見に努めていきましょう!


 

Written by
監修医 小林 充子 先生


麻布大学獣医学部を卒業。在学中は国立保険医療科学院のウイルス研究室でSRSV(小型球形ウイルス)の研究を行う。2010年に目黒区駒場にてキャフェリエペットクリニックを開業。一頭一頭のタイプに合ったオーダーメイドの対応を信条に総合診療を行う。