【column】 一緒にお出かけは猫にとってHAPPY?
2024.05.01
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新緑が美しく、気持ちの良い気候が続く5月は、お出かけ日和。楽しく幸せな経験を一緒に、と考える方もいらっしゃることと思いますが、お出かけは猫にとって嬉しく幸せなこと、でしょうか?
猫は縄張りを張る動物です。外で暮らす猫にとって、食料である獲物を確保することは「生きる」ことに直結します。獲物の狩り場、それが縄張りなのです。
狩らずとも食料がきちんと提供され、また外敵に襲われる心配なく安眠できる環境が提供されている室内飼いの猫にとっては、外に出る必要が全くありません。逆に外に出ることは、大きなストレスがかかることになります。
一緒にお出かけしたい気持ちはわかりますが、猫にとって知らない環境に出ていくことは、恐怖すら感じることになります。子猫の頃から一緒にお出かけしている場合は別ですが、成猫を連れ出すことはやめておいた方がいいでしょう。
お留守番の心得
お出かけしている間、ペットホテルに預けた方がいいのか、お留守番させた方がいいのか、迷う方もいらっしゃることと思います。
ペットホテルに預けた方がいいケースとしては、子猫の場合、シニア猫の場合、投薬や点滴などの治療が必要な場合、でしょう。子猫の場合はお留守番の間に何をしでかすかわからず、思わぬ事故に繋がる可能性がありますし、シニア猫の場合は急に具合が悪くなる可能性があります。
ですが、完全室内飼いの猫は外に出ること自体がストレスになりますので、ペットホテルなど縄張り外の知らない場所に預けられることも大きなストレスになります。ですので、基本的には自宅でお留守番をさせるのが一番ストレスを避けられます。
お留守番させる時は、まず、ご飯を日数分用意しましょう。もし一気に食べてしまう可能性がある場合は、自動給餌機などを使いましょう。 水はかなり多めに用意しておきましょう。留守中同じ水だと傷んでしまう可能性がありますので、一つはファウンテンタイプ(水が自動で循環するタイプ)にしておくといいですね。
また、トイレも増設しましょう。普段からトイレは猫の頭数+1個を設置することをお勧めしていますが、念のためもう一つは増設しておきましょう。猫によっては、綺麗になっているトイレしか使わない子もいますので、そういう子の場合は、必要な数だけ設置してあげて下さい。またいつもより多めに猫砂を入れておくこともお忘れなく!
また、何泊までなら猫たちだけで留守番させられるでしょうか、というご質問を受けることがあります。飼育環境にもよると思いますが、我が家の4匹の猫は3泊まで猫たちだけでお留守番させています。
もし、一緒にお出かけするなら
もし普段から外に出る機会があり、且つ外に出ることを喜んでいる子で、かえってひとりでお留守番させることの方がストレスになりそうな場合、一緒にお出かけするのもいいでしょう。
その場合は、混合ワクチンが有効期限内であるか(基本的に1年ごとに接種が必要です)をまず確認しましょう。もしくはワクチンに含まれているウイルスの抗体価を検査してもいいかと思います。抗体をしっかり持っている状態であれば、万が一旅先でウイルスに遭遇することがあっても安心です。
また、ノミ・マダニの予防もしておきましょう。予防薬によっては、マダニが含まれていない場合もありますので、マダニの予防もできるお薬かきちんと確認しましょう!近年マダニが媒介する病気が増えています。中には猫から人に移る感染症もありますので、きちんと予防しましょう。
ワクチンもノミ・マダニの予防も、猫たちを守る大切な手段です。旅先で病気になってしまったり、何かに感染して帰宅後具合が悪くなったりすることのないよう、しっかり予防してあげましょう!
Written by
監修医 小林 充子 先生
麻布大学獣医学部を卒業。在学中は国立保険医療科学院のウイルス研究室でSRSV(小型球形ウイルス)の研究を行う。2010年に目黒区駒場にてキャフェリエペットクリニックを開業。一頭一頭のタイプに合ったオーダーメイドの対応を信条に総合診療を行う。