【column】 おやつ大好き!! おやつについて知ろう
2024.08.02
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「おやつ」という言葉は「八つ時(現在の15時頃)」に、食事と食事の間の空腹を満たす間食のことを言います。もともと昔の日本人にとってのおやつは、1日の食事の中で不足している栄養素を補うためだったり、一時的なエネルギーやカロリーを補うためだったりしたものでした。
そういった意味でいえば、犬にとっての「おやつ」は、本来は必要のないものです。1日に必要な栄養素は朝晩の食事で全て摂取できるからです。 それでもおやつをあげるメリットとしては、しつけのご褒美、社会性を身につける、の2つが代表的なものでしょう。
他にも飼い主さまと犬との距離感を近づける、信頼関係の構築、嗜好性を知る、と言った点で役に立つこともあります。
社会性を身につける、と言うと少し難しく感じますが、例えば警戒心が強く家族以外の人が苦手なタイプの場合、初めて会う人の手からおやつをもらうことで、家族以外の人を許容する一歩となり、世界が広がるきっかけになる可能性があるのです。
ご家庭の中でも、上手におやつを活用することで、コマンドをうまく定着させることができるようになったり、より円滑なコミュニケーションを取るきっかけになることがあります。
ただ、おやつはあくまで間食なので、1日の必要カロリーの10%を超えることがないように調整することが大切です。
どんなおやつをあげればいいのかな?
おやつ、として与えられるものは、大きく分けて動物性たんぱく質由来のもの、粉物(いわゆるボーロやクッキー)、野菜やフルーツなどになります。 最初に与えるおやつとして適しているものは、消化がよく、余計な味付けがされていない、できれば無添加のものがいいでしょう。
そう言った意味で一番適しているものは、やはりボーロでしょう。
ボーロは口の中に入れると唾液で溶けますので、仔犬でも喉に詰まらす可能性は低く安全です。
また、フルーツなども早いタイミングから与えることのできるものです。ただし、小さくカットすること、種は必ず取り除くこと、また最初は一口だけあげて、アレルギーなどの症状が出ないかどうか確認しましょう。例えばバラ科のアレルギー体質の子には、イチゴやリンゴ、モモなどをあげることはできません。
動物性たんぱく質由来のおやつ、例えば肉を乾燥させたジャーキーなどは、噛み応えがあり嗜好性も高いのが特徴です。ただし消化がしにくいため、できれば成犬になるまではやめた方がいいでしょう。
また嗜好性が高い、というのはメリットでもありデメリットでもあります。「こんなに美味しいものがあるなら、ご飯はいらない!」とおやつばかり欲しがるようになる可能性があります。 1日の必要な栄養素は全て食事で摂れますので、あまり動物性たんぱく質主体のおやつばかりあげない方がいいかもしれません。
また、アレルギーのある子、尿路結石など持病があり療法食を食べている子も注意が必要です。与えたいおやつをあげてもいいか、かかりつけの先生に確認しましょう!
どういう時におやつをあげればいいの?
おやつはあくまでおやつ、大量にあげるものではありません。それでも、犬たちが喜ぶ顔を見たくて、1日中ちょこちょことおやつをあげる方もいるでしょう。
しかし四六時中おやつをあげていると、主食であるご飯を食べないケースが出てきます。1日に必要なカロリーや栄養素を摂取するため、ご飯をしっかり摂ることはとても大切です。
おやつのあげ過ぎを防ぐため、1日分のおやつの量を毎朝小さな缶などに分けておきましょう。缶の中のおやつがなくなったら、今日のおやつはおしまい!です。
よく仔犬にもおやつをあげていいだろうか、という質問を受けます。仔犬の時期には、トイレトレーニングをはじめ、様々なトレーニングをする必要があり、また家族との関係性の構築や、他の犬・人との交わりなど社会性を身につけていく時期です。 1つのことができたらしっかり褒めてあげて、その後におやつを1つあげる、といった使い方をされるといいですね。
おやつはあくまでコミュニケーションツールの1つと捉え、決してあげ過ぎることのないよう、上手に使っていくといいですね。
Written by
監修医 小林 充子 先生
麻布大学獣医学部を卒業。在学中は国立保険医療科学院のウイルス研究室でSRSV(小型球形ウイルス)の研究を行う。2010年に目黒区駒場にてキャフェリエペットクリニックを開業。一頭一頭のタイプに合ったオーダーメイドの対応を信条に総合診療を行う。