【column】冬を安全に健康に過ごすために
2024.12.19
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束の間の秋も終わり、すっかり冬らしい季節となりました。
もう暖房器具をお使いのご家庭も多いかと思いますが、皆様のご家庭ではどういった暖房器具をお使いでいらっしゃいますか?
まず代表的な暖房器具、といえばエアコンでしょうか。
エアコンは温度や風量、風向などの設定もしやすく使い勝手が良いですが、空気が乾燥すること、また床に近い位置は思ったほど暖かくないので注意が必要です。
ファンヒーターや電気ストーブはすぐに部屋が暖まる上、床置きのため床面も暖まりやすい、というメリットがあります。
ただ、温風の出口付近、また電気ストーブの近くは非常に温度が高く、火傷をする危険があります。
これらの暖房器具をお使いになられる時は、温風口やストーブに近寄れないよう柵を作るなどの対処が必要です。
床暖房やペット用ホットマットなど床面そのものが暖かくなる暖房器具は温度の調節もしやすく使い勝手がいいものです。
ただ、低温やけどには気をつけましょう。特にシニアで一定の場所からほとんど動かない子は注意が必要です。
最近また流行しつつあるこたつですが、こたつは犬たちが大好きな暖房器具です。
非常に温かく、布団で隔離されるので安心して眠ることができます。
ただ、中は乾燥しやすく喉が渇くので、こたつのすぐ近くに、もしくはこたつの中に水を置いてあげるといいですね。
冬になると「着るだけで暖かい下着」を着用することが多い私たちですが、そういった素材を使って犬用に作られた洋服も販売されています。
シニアの子などにはこういった洋服を着せてあげるものいいかもしれませんね。
どんな暖房器具をお使いになられても構いませんが、犬たちが日中よく過ごす部屋に温湿度計を置いておくといいと思います。
時々、特に湿度をチェックして、必要なら加湿をしてあげましょう。
冬に気をつけるべき誤食
クリスマスを象徴する植物といえば、ポインセチアです。
ポインセチアにはホリポールエステル類という有毒成分が花や葉に含まれており、これを食べると下痢や嘔吐など消化器症状が出ます。
また樹液に触れると皮膚炎を起こすことがあります。
クリスマスツリーに飾るオーナメントの誤食もこの時期よく見かけます。
飲み込みやすい大きさのものは上の方に飾るなどしましょう。
また生花を飾ることが多い時期ですが、百合やチューリップ、松や南天などは誤食すると中毒を起こす植物です。
どうしてもこれらの植物を飾る場合には十分に気をつけて下さい。
またこの時期は人が集まることが多く、たくさんのご馳走がテーブルに並び、ついつい人の食べ物をあげてしまいがちです。
普段食べ慣れないものをあげると、アレルギーなどではなくても、嘔吐や下痢になることがあります。できるだけ普段と違うものはあげないようにしましょう。
ご馳走の後始末も大切です。この時期に多い誤食は、ダントツで鶏の骨です。
骨付き肉を食べた時は、倒れても中身が飛び出さない蓋のついたゴミ箱に入れておきましょう。
冬に気をつけるべき疾患
急に冷え込んだ日、クリニックでよく見かけるのは下痢、嘔吐、食欲不振などの消化器疾患です。
気温が低下することで交感神経優位となり、消化管の動きや血流が悪くなります。
胃の働きが悪くなることで嘔吐や食欲不振が、血流の悪化が食べ物の消化吸収不良を招き、下痢を起こします。
酷い場合には膵炎を起こすこともありますので、注意が必要です。
元々お腹が弱い子は、腹巻きするなどお腹を冷やさないようにしてあげましょう。
何度もトイレに行くのに少しずつしかおしっこが出ていない、という時は膀胱炎になっている可能性があります。
特に尿路結石の既往症がある子は要注意です。
おかしいな、と思ったら、おしっこを持ってかかりつけの病院を受診しましょう。
また寒くなって空気が乾燥すると多くなるのが呼吸器疾患です。
くしゃみや鼻水、咳が出るようになったら、早めに病院を受診しましょう。
万が一肺炎になっていたら大変です。あまり様子見することはお勧めできません。
楽しいイベントが目白押しのこの季節。
人も犬も家族みんなが楽しくHAPPYなホリデーシーズンを過ごせるようにしたいですね!
Written by
監修医 小林 充子 先生
麻布大学獣医学部を卒業。在学中は国立保険医療科学院のウイルス研究室でSRSV(小型球形ウイルス)の研究を行う。2010年に目黒区駒場にてキャフェリエペットクリニックを開業。一頭一頭のタイプに合ったオーダーメイドの対応を信条に総合診療を行う。