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【column】今日も一緒に「おやすみなさい」

2025.02.18

犬猫通信 for DOG

犬はどうして飼い主さんと一緒に寝たがるの?

寒い冬は犬たちとの距離が近くなります。
いつも以上に膝の上に乗りたがったり、足にぴったり寄り添って寝ていたり、常に飼い主さんの側にいたがるようになります。夜もベッドで待ち伏せしていたり、寝室に向かう飼い主さんの後を必死で追いかけてきたり、とにかく一緒に寝ようと頑張る姿に思わずほっこりします。犬たちはなぜ飼い主さんと一緒に寝たがるのでしょう?

犬は元々群れる動物です。外敵から身を守るため、仲間で固まって眠る習性があります。
それでも眠っている間は無防備になりますので、群れの中でも強い個体、または母親や兄弟など安心・信頼できる仲間の側で眠ります。今のように完全室内飼いで襲われる心配がない状況でも、やはり誰かの側で眠りたいのです。
とはいえ、誰でもいい訳ではありません。家族の中で一番信頼できる人であることが条件です。逆に寝相が悪かったり、いびきがうるさかったりする人の側ではあまり寝ようとしません。

また布団のどの場所で寝ようとするかによって、飼い主さんに対する思いが推察されます。
まず、飼い主さんの枕元で寝ようとする子ですが、飼い主さんのちょっとした変化にもすぐに対応できるように、何かあったら自分が面倒をみる、または守らなくては!と考えています。
布団に潜り込み、飼い主さんの体にピッタリと寄り添っていたり、腕の中で丸くなって眠る子はとても甘えん坊です。安心して眠りたい、何かあっても飼い主さんが守ってくれるので大丈夫、と思っていることでしょう。
足元に寄り添うように寝ている子は、一緒に眠ることで安心したい反面、お互いが守り守られる、そんな対等な関係性を求めている子と考えられます。うちの子がベッドのどこに陣取って眠っているか、こうやって観察してみるのも面白いですね。


飼い主さんと同じベッドで「おやすみなさい」はいいこと?悪いこと?



犬にとって飼い主さんの側で眠ることができる、ということは基本的にメリットしかありませんが、
飼い主さんにとってはどうでしょう?

飼い主さんにとっても、犬の規則的な呼吸・心拍・少し高めの体温に触れることで、自身の呼吸・心拍が安定し、深いリラックス効果があるだけでなく、幸せホルモンと言われるオキシトシンの分泌が促進されたり、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑えたりする効果があることがわかっています。

デメリットとしては、まずアレルギーや衛生に関する問題です。犬の被毛、フケなどがアレルゲンになる可能性がありますし、犬の身体に着いた汚れや細菌などが寝具に付着することは衛生的に問題です。
また、一緒に眠ることで深い睡眠を得られる可能性がある一方で、逆に睡眠が浅くなるケースもあります。犬が夜中に動いたり寝る場所を変えたりする度に、眠りを妨げられてしまうからです。

犬にとってメリットしかない、と申しましたが、飼い主さんへの依存度が高くなることで分離不安症などの問題行動が起こる可能性はあります。あまりにも飼い主さんへの依存度が強くなる傾向があるようでしたら、一緒に眠ることは避けた方がいいかもしれません。


一緒に眠るために必要なこと




お互いが快適に、そしてリラックスした良い睡眠環境を整えるために、寝具類は常に清潔に保っておきましょう。
また犬も定期的にシャンプーをするだけではなく、日々ブラッシングをすることで被毛についた汚れなどをきちんと除去しておきましょう。ノミダニの駆虫・予防も1年中必要になります。

また、うちの子がどういう性格であるかを把握しておくことも大切です。夜一緒に眠ることで依存が強くなり、分離不安症になってしまうようでは、飼い主さんにとっても、犬にとっても辛いこととなります。
分離不安症の矯正はとても大変です。そうなる前につけるべきけじめはきちんとつけて、お互いがよりいい関係を築いていけるよう努力が必要です。判断が難しいようでしたら、かかりつけの先生やドッグトレーナーさんに意見を聞いてもいいでしょう。

うちの子にとって何がベストなのかをきちんと見極めた上で、毎晩一緒の布団で眠ることができる幸せを味わえるといいですね。今日も一緒におやすみなさい。

 

Written by
監修医 小林 充子 先生


麻布大学獣医学部を卒業。在学中は国立保険医療科学院のウイルス研究室でSRSV(小型球形ウイルス)の研究を行う。2010年に目黒区駒場にてキャフェリエペットクリニックを開業。一頭一頭のタイプに合ったオーダーメイドの対応を信条に総合診療を行う。
 
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