犬のよだれがポタポタ止まらない原因はストレス?体調不良のサインや対処法
2025.04.08
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急にわんちゃんのよだれが多くなる原因は?

愛犬がいつもと違う様子だと不安を感じてしまう方も多いでしょう。急にわんちゃんのよだれが多くなるのには、いくつかの原因があることが多いです。ここでは、よだれが多くなる原因を解説します。「愛犬のよだれが増えてきたかも?」と感じた方は、ぜひ当てはまる原因があるかチェックしてみてください。
食べものを見た生理現象

わんちゃんがドッグフードや肉などを見ると、大量のよだれが出てくることがあります。これは、食べものを見たことによって反射的に唾液が増えたことが原因です。
また、空腹時も食事の消化を助ける準備としてよだれが増えることがあります。食事やおやつを用意しているときや空腹のときは、特別心配する必要はないでしょう。
暑さによる体温調整

わんちゃんは人間の様に発汗することができないため、口をあけて「ハアハア」と息をすることで体温調節をします。この行動はパンディングと呼ばれ、わんちゃんが体温調節をするうえで欠かせない行動です。
しかし、あまりにも息が乱れている場合や苦しそうにぐったりしている場合は熱中症の可能性もあるので、かかりつけの獣医師にすみやかに相談しましょう。特に暑い時期は濡れたタオルを体にかけたり、冷たいペットボトルなどで首元や足のつけ根を冷やしたり、こまめに水分補給をさせたりといった工夫が必要です。
車酔いによるもの

ドライブ中によだれが増えたときは、車酔いの可能性があります。これは、車酔いによって吐き気が引き起こされると唾液の分泌を促す神経が刺激されることが原因です。
愛犬とドライブを楽しむ際は、こまめに休憩をとることがおすすめです。愛犬が車酔いをしやすい場合は、ゆっくりとした運転を心掛けてあげたり、酔い止めで対策したりしましょう。
リラックスしている

わんちゃんがリラックスしている状態のときも、よだれが出やすいです。わんちゃんも人間と同様、交感神経と副交感神経が作用しています。そのため、リラックスしているときは副交感神経が優位に働くことでサラサラとしたよだれが出やすいです。
寝ているときや気持ちが落ち着いているときによだれが増えるのは、ごく自然な現象といえるでしょう。
ストレスを感じている

ストレスや緊張を感じている場合も、よだれの量が増えることがあります。環境の変化や周囲の様子がいつもと違ったり、長時間の留守番をしたりと過度なストレスがかかると交感神経が優位に働き、よだれが増加します。
全てのストレスをなくすことは難しいですが、なるべく愛犬の様子を観察し、ストレスの原因を排除してあげましょう。
注意したいわんちゃんのよだれの原因

前述の通り、わんちゃんのよだれの量が増えるのにはさまざまな原因があります。特に問題のないケースもありますが、ぐったりしていて元気がない、呼吸が荒い、目の焦点が合わないなどの症状が併発している場合は要注意です。よだれと同時に体調不良のサインが見られる場合は、獣医師に相談するようにしましょう。
誤食・誤飲

人間の食べ物やおもちゃなどを誤食・誤飲してしまった場合も大量のよだれが出てきます。特にわんちゃんにとって、チョコレートやブドウ、ねぎ類などは中毒症状を引き起こす危険な食べ物です。
よだれ以外に、下痢や嘔吐などの症状が現れた場合はすぐに獣医師に相談しましょう。「危険な物はわんちゃんの周囲に置かない」「散歩中の様子をしっかり見ておく」などの対策も必須です。
熱中症

わんちゃんは口で呼吸し、体温調節をすることでよだれが出ることもあります。しかし、ぐったりしているときや舌や口の中の色が赤色や紫色のときは、熱中症が疑われるケースもあるので注意しましょう。
そのような症状が見られるときはすぐに体を冷やし水を与えたうえで、すみやかに獣医師に相談してください。
お口のトラブル

歯周病や口内炎、口腔内腫瘍などお口のトラブルが見られるときもよだれが増えてしまいます。そのほか、歯肉から血が滲んでいたり、よだれが臭う場合は、獣医師に相談しましょう。
また、わんちゃんの口内トラブルを防ぐために日頃から歯磨きや歯磨きスプレーなど、デンタルケアを行うことがおすすめです。
消化器系の疾患

胃腸炎や胃捻転、膵炎など消化器系の病気がある場合も、よだれが増えやすいです。元気や食欲がなく、嘔吐や呼吸困難などの症状が見られたときは、すぐに獣医師に相談しましょう。
特に胃の拡張とねじれが起こる胃拡張・胃捻転症候群は、大型犬に起こりやすいとされているので、普段と異なる様子が見られた際は要注意です。
ポタポタと垂れるほどのよだれ【よだれが多い犬種】

わんちゃんのなかには、もともとよだれが多い犬種もいます。特にわんちゃんを初めて飼う場合、よだれの量が適正かどうか分からず、心配してしまうこともあるでしょう。ここでは、よだれが多い犬種を紹介します。
小型犬・老犬

ダックスフンド、トイ・プードル、イタリアン・グレーハウンドは、歯周病になりやすく、よだれの量が多い傾向があります。
また、老犬は歯周病になりやすいだけでなく、さまざまな病気のリスクもあります。さらに呼吸がしにくかったり、口元の筋肉が衰えたりして口が閉じづらくなるケースもあります。歯周病やその他の病気を予防するためにも、歯のケアは入念に行いましょう。
大型犬

ゴールデンレトリーバーやラブラドールレトリーバー、ブルドッグなどの大型犬は唇のたるみが大きい個体も多く、大量によだれが出てくる場合もあります。
またセント・バーナードやマスティフ、ニューファンドランドなど超大型犬はもともとよだれの量が多いことで有名です。ほとんどの場合は大量のよだれが出ていても問題ありませんが、体調不良のサインが見られる場合は注意しましょう。
わんちゃんのよだれが急に多くなったら体調の観察を

本記事ではわんちゃんのよだれがポタポタ止まらない原因や体調不良のサイン、対処法を紹介しました。わんちゃんのよだれには消化を助ける役割や体温調節などの役割があり、ほとんどの場合問題はありません。しかし、体調不良のサインが見られた際は、かかりつけの獣医師に相談してみてください。
Written by
監修医:小島 麻里 先生
犬猫生活往診クリニック代表獣医師。2013年酪農学園大学を卒業後、地域密着型の1次病院から大学病院、歯科専門病院など11年間小動物臨床で経験を積み、ペット栄養管理士取得後、往診専門動物病院を開院。保護猫おもち・わらびと暮らす。